村上春樹さんの「猫を棄てる」読了。
村上春樹さんの亡くなった父親のことが
書かれた短い文章の一冊でした。
ドキッとするタイトルではありますが
父親の人生を書くにあたり、彼が幼い頃、
父と猫を棄てに行ったことを思い出し、そこから文章が始まり物語りに繋がっていきます。
彼は、こういう個人的な文章がどれだけ一般読者の関心を惹くものなのか、僕にはわからない。
と言っていますが、私はこういった、個人の物語が、世界全体を作り上げている大きな物語の一部であって、彼が「メッセージ」として書きたくはなかった。と言っている様に
歴史は過去のものではなく、意識の内側で
無意識の内側で温もりを持つ生きた血となって流れて次の世代へ否応なく持ち運ばれていく
現実なのであって、とても興味深く考えさせられながら読み終えました。
まだまだ守られていなければ生きていけない頃に母猫から見放された猫の姿には思えない子が
我が家にはいますけどね。