この辺りは猫が多いとは言え
我が家にはよく猫が来ます。
殆どの猫さん達は日向ぼっこして帰ったり
通り道に通っただけだったりして、たちまちいなくなるのですが。
中でもダントツ1位、我が物顔で入って来て
私の膝に飛び乗り甘えて来たのはちぃちゃんだけでしたが、実はもう1ニャン
我が家の仲間入りするかしないかまで、話し合われた、人懐こく接して来た猫ちゃんがいました。
「お宅に住まわせてくれないかしらね?」
おーーー!そんな可愛い瞳で見上げられたら!
この子は数日前からこの辺りに現れていて
多少の怖がる様子はあるものの、私が帰宅すると駐車場にいて一緒に玄関までついて来たり
鳴いたりしていて、娘と「わらび」という名前も付けました。
扉の向こうから誰かが現れるのを待っています…。
人懐こく、健気な姿に胸も打たれ始めた頃
主人が行っていたボランティア先の東北の被災地に次女も数日行くことになり、帰って来ても尚ワラビがうちに来るようだったら、保護しようという話になりました。
その間もわらびは現れて
木で爪とぎしたり、木登りして降りれなくなって騒ぎになったり。
うちの中のちぃちゃんはというと、いつもいるはずの次女が居ないので、次女の学習机から離れず過ごしたりしていました。
被災地から主人と次女が帰宅した頃、わらびは
私にすりすりしてくる様になりました。
何度も何度も足下にすり寄って来るので、その時にそっと手を伸ばすと触ることも出来ました。この進展に益々さぁ、迎え入れよう!と
話しながら娘と家の中に入った時でした。
ちぃちゃんが、私の足下の匂いをクンクン嗅いで、途轍もなく激オコです。
ペットショップや猫カフェで猫さんを抱いて帰って来てもそれ程反応しないちぃちゃんのはずが、シャーシャーと怒りに声も心も震わせて。
背中にメラメラ炎が見える様です。
私は慌てて逃げる様にシャワーを浴びに行き
着替えて、
ちぃちゃんに謝ろうと近づきましたが、
まだ、全然ぷんぷん丸です。
まったく近づいてもくれず、その日はゴハンも食べず、寝室も別。
「実家に帰らせていただきます。 ちぃ」
なんてメモ紙がテーブルの上に置かれそうな勢いです。
あぁ…ちぃちゃん。ちぃちゃんが1番なのに。
「何よっ!1番って!1番ってことは2番がいるわけっ??」
もはや、私は浮気を認めてしまった夫の様。
どうしたらウチのカミさん許してくれるんすかね?先輩…。と、一杯飲みにでも行きたくなりながら、ここはひとつ、前から欲しがっていたバッグか靴を、もとい、大好物のササミと刺身の彩り盛りを…出したところで機嫌がよくなるわけもなく。
その姿を見た家族は、ちぃちゃんが可哀想だ。
という結論に至り。
私も、このちぃちゃんの怒りと悲しみは
わらびを迎えることは時間が解決するものではなく、心に傷を打ち付けるレベルの悲しみというのが心底伝わってきて、だめだと感じました。
でも、ここまで人懐こいわらびですし
誰か飼い主をと、その晩友人や仕事仲間などにあたり始めたのですが、ちぃちゃんが怒りに打ち震えた日を境に翌日からパタリと我が家にはやって来なくなってしまいました。
この家に入ることは出来ないとちぃちゃんが窓越しに伝えたのか。
怒りの罵声を聞いてこれは駄目だと理解したのか。いずれにしてもその日を境にだったので
何か察して現れなくなったのだと思います。
その後、近くのコンビニの駐車場にいるわらびを何度か見た後、その先の広い駐車場でわらびにゴハンをあげる女性が居ることを知りました。
何度かその女性とわらびの姿を見た後、やはり又見かけなくなってしまったので、その女性がわらびを連れ帰ってくれたか分からないのですが…。
この出来事があった1年後に、ちぃちゃんは
どの猫も受け入れる気がないことを動物対話士さんから教えられることになるのですが、
まだその詳しい理由は知らなくとも、ちぃちゃんは他の猫の存在に友好的ではないことだけは
よく分かりましたし、あの時程ちぃちゃんが私に嫌悪感を露わにしたことは初めてでした。
どこか、いつも現れては去って行く他の猫達とは違った住処を、人を求めている様に思えたわらび。